人人生図書館ログイン

第2話 / 全2話

退院の朝

人生図書館 · 310字 · 約1分

文字
配色

 退院は、三十一日目の朝だった。

 荷物をまとめて、看護師さんたちに挨拶をした。

 小野さんは、夜勤明けで、ちょうど帰るところだった。

「おめでとうございます」

「ありがとうございました」

 私は、それ以上何を言えばいいか分からなかった。

 小野さんは、少し笑って、言った。

「外、いい天気ですよ」

「はい」

「深呼吸、してくださいね」

 病院の玄関を出て、私は言われたとおりに深呼吸をした。

 外の空気は、五センチの隙間から入ってくる空気と、同じ匂いがした。

 私は、しばらく立ち止まっていた。

 それから、家に向かって歩き出した。

 あれから二年になる。

 私は、夜、眠れないとき、窓を五センチだけ開ける。

 五分だけ。

 外の匂いを吸って、閉める。

 それで、だいたい、眠れる。

この作品はここで完結です。

読んでくださって、ありがとうございます。

ログインなしで押せます。何回でもどうぞ。

感想を書く →

人生図書館 さんの別の作品

同じ読後感の作品