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苦役列車

苦役列車

西村賢太 · 新潮社(新潮文庫) · 2012年

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この本について

十九歳、中卒、日雇いの港湾労働。家賃を滞納し、酒を飲み、明日のことは考えない。そういう若者の、何も起きない日々の話。 主人公の貫多は、父親が性犯罪で捕まったことをきっかけに家族が離散し、中学を出てからひとりで生きている。冷凍倉庫で荷を運ぶ仕事の日当をその日のうちに使い、同じ職場の専門学校生と友人らしきものになり、それも自分で壊す。 著者の実体験にもとづく私小説で、主人公に共感できる場面はほとんどない。それでもページをめくらせるのは、貫多が自分の卑しさから目をそらさないからだ。言い訳がない。憐れんでほしいとも言わない。 二〇一一年の芥川賞。貧しさが人を悪くするのではなく、悪い人間が貧しさの中で、それでも生きている。そのことを認めるところから、この本は始まっている。

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