送迎車の朝
この本について
重度の筋疾患で背中が曲がり、人工呼吸器をつけて生きる女性が、グループホームの一室からネットに言葉を投げ続ける話。 井沢釈華は、両親が遺したグループホームで暮らしている。昼間はネット記事のライターをし、匿名のアカウントで過激なつぶやきを書き散らす。体は紙の本をめくることさえ難しい。読書文化が健常者の体を前提にしていることへの怒りが、文章の芯にある。 著者自身が同じ病気で、小説の中の怒りは借り物ではない。それでも、この本は告発だけでは終わらない。釈華が男性ヘルパーに持ちかける取引から、話は思わぬ方向へ転がる。 二〇二三年の芥川賞。短く、文章は速く、読者の居心地を悪くさせることを恐れない。障害を「感動」の枠で読んできた人ほど、読むべき本だと思う。
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