送迎車の朝
この本について
英国の大邸宅に長く仕えた老執事が、六日間の自動車旅行のあいだに、自分の半生を振り返る。 スティーブンスは、ダーリントン・ホールの執事として、戦前の華やかな時代を支えた。主人は貴族で、政治家たちを屋敷に集めていた。彼は「偉大な執事」であることを人生の目的にし、父の死の夜にも、仕事を優先した。 一九五六年、新しい主人に休暇をもらった彼は、かつての同僚ミス・ケントンに会うために西へ向かう。道中で思い出すのは、彼女と交わした会話と、言わなかった言葉だ。 語り手は自分の気持ちをほとんど認めない。だから読者が、彼の代わりに気づくことになる。何かに尽くして生きた人が、晩年にそれを振り返るときの寂しさと誇りが、この本にはある。一九八九年のブッカー賞。著者はノーベル文学賞作家。この版は土屋政雄訳の単行本。
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