三十六歳、履歴書の空白
この本について
敗戦の日、焼け野原の東京で、石油会社の社長が社員に告げる。「一人も馘にしない」。出光興産の創業者をモデルにした、経済小説の形をした人物伝。 国岡鐵造は、戦前から独自のやり方で石油を売り、戦後は海外のメジャー企業と渡り合う。社員に出勤簿も定年もない。クビにしない代わりに、全員で働く。無茶に聞こえるが、本当に実行した会社の話だ。 前半は戦後の再建、後半はイギリスが封鎖していたイランから自社のタンカーで石油を運び出す「日章丸事件」。実際にあった出来事で、国際問題になった。 二〇一三年の本屋大賞。企業の宣伝のように読める部分もあり、評価は分かれる。それでも、働く人を一人も切らずに会社を立て直した経営者がいたという事実は、今の働き方を考えるうえで一度は知っておいていい。
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