送迎車の朝
この本について
就職活動中の大学生五人が、ひとりの部屋に集まって情報を交換し合う。その裏で、それぞれが別の顔を持っている話。 語り手の拓人は演劇をやめて就活を始めた。同居人の光太郎、留学帰りの瑞月、意識の高い理香とその彼氏。互いの進み具合を気にしながら、表では応援し合い、裏では観察している。手元には短い投稿でつぶやくアカウントがあって、そこに本音が漏れる。 就活の話だが、本当の主題は「人を評価する目線」のほうだ。誰かを冷静に分析している自分が、いちばん何者にもなれていない。そのことに気づく瞬間が後半にあって、そこで小説の温度が変わる。 二〇一三年、当時最年少の直木賞。学生のときに読むのと、採用する側になってから読むのとで、痛いところが違う。
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