送迎車の朝
この本について
売れない若手芸人が、熱海の花火大会で出会った先輩に弟子入りを申し出るところから始まる、十年分の話。 語り手の徳永は「スパークス」というコンビの一人。先輩の神谷は、面白いことにしか興味がなく、面白くないものを許さない。徳永は神谷に「伝記を書け」と言われ、以来ずっと神谷を見つめ続ける。 芸人が芸人を書いた小説として話題になったが、読んでみると、これは才能に憧れて、才能に置いていかれる人の話だ。神谷の言葉は正しくて、正しいがゆえに商売にならない。徳永はそれを一番近くで見ていて、一番よくわかっている。 二〇一五年の芥川賞。笑いの理屈を延々と語る場面と、何も言わずに歩く場面が交互に来て、その落差で読ませる。最後の章は、読む前に予想していたどの終わり方とも違っていた。
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