夏休みの図書室
この本について
記憶が八十分しかもたない老数学者と、その家に通う家政婦、そして彼女の十歳の息子。三人で過ごした一年ほどの話。 博士は交通事故の後遺症で、新しい記憶を八十分以上保てない。背広のあちこちにメモをクリップで留めて、自分の状態を毎朝読み直す。家政婦の「私」は最初、仕事として博士の世話を始めるが、博士が息子の平らな頭を撫でて「ルート」と名づけたときから、この家の時間が動き出す。 数式が何度も出てくるのに、数学が苦手でも困らない。博士にとって数は、人を測る道具ではなく、人と人のあいだに置ける唯一の共通語だったのだとわかってくる。阪神タイガースの江夏の背番号28が、素数でも完全数でもある、というくだりは何度読んでも好きだ。 2004年、第一回本屋大賞。短い本なので、一日で読めて、しばらく残る。
この本が好きなら、この投稿小説
「心が温まる」の読後感が近い作品と、同じテーマの作品です。無料で読めます。
三十年目の同窓会
点滴の音