送迎車の朝
この本について
職場の同僚三人の関係を、食べることを軸に描く。手作りのお菓子を配る女性、それを好意的に受け取る男性、受け取れない女性。 芦川さんは体が弱く、残業はしない。そのぶん、休みの日に焼いた菓子を職場に持ってくる。二谷は芦川さんとつき合いながら、食事そのものにあまり興味がない。押尾さんは、芦川さんのやり方に納得がいかず、二谷に「一緒に困らせませんか」と持ちかける。 悪人はいない。ただ、「おいしいものを食べるのはいいこと」という前提に乗れない人の居心地の悪さが、職場という小さな場所で丁寧に書かれている。読んでいて、自分がどの立場かを考えずにはいられない。 二〇二二年の芥川賞。短いので一晩で読めるが、職場で何かを配る人も、配られる人も、少し読み方が変わる。
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