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東京タワー

東京タワー

リリー・フランキー · 新潮社(新潮文庫) · 2010年

九州の炭鉱町で、母ひとり子ひとりで育った少年が、東京に出て、やがて母を東京に呼ぶ。母と息子の四十年ほどの話。 「ボク」は幼いころ父と別れ、筑豊の小倉で、母の実家を頼りながら育つ。オカンは働き者で、料理がうまく、誰にでも食べさせる。ボクは美大…

小さいおうち

小さいおうち

中島 京子 · 文藝春秋(文春文庫) · 2012年

昭和の初め、東京郊外の赤い三角屋根の家で女中として働いた女性が、晩年にその日々をノートに書き残す。 タキは山形から出てきて、平井家に住み込みで入る。奥様の時子は若く美しく、坊ちゃんは足が悪く、旦那様は玩具会社の重役。モダンな小さい家で、タキ…

永い言い訳

永い言い訳

西川 美和 · 文藝春秋(文春文庫) · 2016年

妻をバス事故で亡くした作家が、同じ事故で妻の親友を亡くした一家の子どもたちの面倒を見始める話。 衣笠幸夫は小説家で、テレビにも出る。妻の夏子が友人と旅行中に事故で死んだとき、彼は別の女性と一緒にいた。悲しめない自分を持て余しているところへ、…

キネマの神様

キネマの神様

原田 マハ · 文藝春秋(文春文庫) · 2023年

七十九歳の父は、ギャンブル好きで借金まみれ。ただひとつ、映画のことになると別人になる。その父が、映画の感想をブログに書き始める。 娘の歩は、大手の開発会社を辞めて実家に戻り、父の借金を知る。父のゴウは若いころ映画の助監督をしていて、今は毎日…

幸福な食卓

幸福な食卓

瀬尾 まいこ · 講談社(講談社文庫) · 2007年

「父さんは今日で父さんをやめようと思う」。朝食の席でそう宣言した父と、別居中の母、大学をやめて農業を始めた兄。中学三年の妹から見た、おかしな家族の一年。 主人公の佐和子は、家族の変調に慣れている。父は自殺未遂をしたことがあり、母は家を出たが…

朝が来る

朝が来る

辻村 深月 · 文藝春秋(文春文庫) · 2018年

不妊治療の末に特別養子縁組で男の子を迎えた夫婦のもとに、ある日「子どもを返してほしい」という電話がかかってくる。 栗原清和と佐都子は、六年間の治療のあとで子どもをあきらめ、養子縁組の団体を通じて生後まもない朝斗を迎える。幼稚園に通うまで育て…

とわの庭

とわの庭

小川 糸 · 新潮社(新潮文庫) · 2023年

目の見えない少女とわは、母と二人、庭のある家で暮らしていた。ある日、母が帰ってこなくなる。閉ざされた家から、世界へ出ていくまで。

八日目の蝉

八日目の蝉

角田光代 · 中央公論新社(中公文庫) · 2026年

不倫相手の家から、生後間もない赤ん坊を連れ去った女。四年間の逃亡と、その子が大人になってからの話。 野々宮希和子は、相手の男の家に忍び込み、ベビーベッドの赤ん坊を抱いて出てしまう。その子を「薫」と名づけ、知人の家、女性だけの共同生活の施設、…

ライオンのおやつ

ライオンのおやつ

小川 糸 · ポプラ社(ポプラ文庫) · 2022年

余命を告げられた三十三歳の女性が、瀬戸内の島にあるホスピスで、最後の日々を過ごす話。 雫は、育ててくれた義理の父に心配をかけたくなくて、ひとりで「ライオンの家」に入る。海の見える部屋、おいしい食事、犬の六花。ホスピスでは毎週日曜に「おやつの…

神様のカルテ

神様のカルテ

夏川 草介 · 小学館(小学館文庫) · 2011年

信州松本の救急病院で働く若い内科医の、眠る暇のない日々と、そこで出会う患者たちの話。 栗原一止は二十九歳。「二十四時間、三百六十五日対応」を掲げる本庄病院に勤めていて、当直明けにそのまま外来に出る。夏目漱石を愛読しているせいで、話し方が古め…

夜明けのすべて

夜明けのすべて

瀬尾 まいこ · 文藝春秋(文春文庫) · 2023年

月に一度、PMSで怒りを抑えられなくなる女性と、パニック障害で電車に乗れなくなった男性。小さな会社で同僚になった二人の話。 藤沢さんは、以前の職場で生理前の症状のせいで人間関係を壊し、今は金属部品を作る栗田科学で働いている。そこに山添くんが…

ハンチバック

ハンチバック

市川 沙央 · 文藝春秋(文春文庫) · 2025年

重度の筋疾患で背中が曲がり、人工呼吸器をつけて生きる女性が、グループホームの一室からネットに言葉を投げ続ける話。 井沢釈華は、両親が遺したグループホームで暮らしている。昼間はネット記事のライターをし、匿名のアカウントで過激なつぶやきを書き散…

聖の青春

聖の青春

大崎 善生/YUME · KADOKAWA(角川つばさ文庫) · 2016年

腎臓の難病を抱えながら将棋の頂点を目指し、二十九歳で亡くなった棋士・村山聖の生涯を描いたノンフィクション。 村山は五歳で腎ネフローゼを発症し、入院中に将棋を覚える。体調が悪いと布団から出られないのに、盤の前では誰より強かった。広島から大阪へ…

世界から猫が消えたなら

世界から猫が消えたなら

川村元気 · 小学館(小学館ジュニア文庫) · 2016年

脳腫瘍で余命わずかと告げられた三十歳の郵便配達員の前に、自分そっくりの悪魔が現れて取引を持ちかける。世界から何かひとつ消せば、一日生きられる。 最初に消えたのは電話。次に映画、時計。そのたびに、主人公は消えるものと一緒にあった記憶をたどる。…

国宝

国宝

吉田修一 · 朝日新聞出版(朝日文庫) · 2021年

長崎の任侠の家に生まれた少年が、歌舞伎の女形として芸の頂点を目指す。昭和から平成にかけての五十年を描く長編。 喜久雄は十五歳で父を抗争で亡くし、上方歌舞伎の名門・花井半二郎に引き取られる。そこには半二郎の実子・俊介がいた。血筋のある俊介と、…

海賊とよばれた男

海賊とよばれた男

百田 尚樹 · 講談社(講談社文庫) · 2014年

敗戦の日、焼け野原の東京で、石油会社の社長が社員に告げる。「一人も馘にしない」。出光興産の創業者をモデルにした、経済小説の形をした人物伝。 国岡鐵造は、戦前から独自のやり方で石油を売り、戦後は海外のメジャー企業と渡り合う。社員に出勤簿も定年…

神去なあなあ日常

神去なあなあ日常

三浦しをん · 徳間書店(徳間文庫) · 2012年

高校を出たばかりの横浜の若者が、担任の勝手な手続きで三重県の山奥の村に送られ、林業で働き始める。 平野勇気は、就職も進学も決めないまま卒業した。気づけば携帯の電波も届かない神去村にいて、中村林業の飯田ヨキという男の家に住み込むことになる。木…

お探し物は図書室まで

お探し物は図書室まで

青山 美智子 · ポプラ社(ポプラ文庫) · 2023年

仕事や人生に行き詰まった五人が、コミュニティハウスの小さな図書室で司書に本を薦められる。五つの話が少しずつつながる連作。 相談者は、婦人服の販売員、家具メーカーの経理、雑誌の元編集者、ニートの青年、定年退職したばかりの男性。司書の小町さゆり…

おいしいごはんが食べられますように

おいしいごはんが食べられますように

高瀬 隼子 · 講談社(講談社文庫) · 2025年

職場の同僚三人の関係を、食べることを軸に描く。手作りのお菓子を配る女性、それを好意的に受け取る男性、受け取れない女性。 芦川さんは体が弱く、残業はしない。そのぶん、休みの日に焼いた菓子を職場に持ってくる。二谷は芦川さんとつき合いながら、食事…

劇場

劇場

又吉 直樹 · 新潮社(新潮文庫) · 2019年

下北沢の小さな劇団を率いる若者と、彼を支える恋人。売れない演劇人の日々を描いた、又吉直樹の二作目。 永田は、自分の劇団「おろか」の脚本と演出をしている。評価されず、金もなく、友人の家を転々としている。沙希は服飾を学ぶ学生で、永田の才能を信じ…

三千円の使いかた

三千円の使いかた

原田 ひ香 · 中央公論新社(中公文庫) · 2021年

祖母、母、姉、妹。ひとつの家族の四人の女性が、それぞれの年代でお金とどう向き合っているかを描く連作。 二十四歳の美帆は、ひとり暮らしで貯金三十万円。姉の真帆は専業主婦で、節約で一千万円を貯めた。母の智子は五十代で、夫の定年と自分の健康が心配…

本日は、お日柄もよく

本日は、お日柄もよく

原田マハ · 徳間書店(徳間文庫) · 2013年

友人の結婚式で、退屈な祝辞に居眠りした女性が、ひとりのスピーチライターの言葉に目を覚まされる。言葉の仕事を知っていく話。 二ノ宮こと葉は製菓会社の社員で、仕事にも恋にも中途半端。式の席で、久遠久美という女性のスピーチを聞いて涙が出た。久美は…

みかづき

みかづき

森 絵都 · 集英社(集英社文庫) · 2018年

昭和三十六年、小学校の用務員が、教室のあとで子どもたちに勉強を教えていた。それを見た一人の女性が、彼を塾の経営に引き込む。三世代にわたる、塾の家の話。 大島吾郎は教えることが好きで、資格もないまま子どもたちに慕われていた。赤坂千明は、学校教…

日の名残り

日の名残り

カズオ・イシグロ/土屋 政雄 · 早川書房 · 2018年

英国の大邸宅に長く仕えた老執事が、六日間の自動車旅行のあいだに、自分の半生を振り返る。 スティーブンスは、ダーリントン・ホールの執事として、戦前の華やかな時代を支えた。主人は貴族で、政治家たちを屋敷に集めていた。彼は「偉大な執事」であること…